2008年10月30日

小諸城址・・・懐古園

     小諸なる古城のほとり
     雲白く遊子悲しむ
     緑なすハコべは萌えず
     若草もシくによしなし
     しろがねの衾の岡辺
     日に溶けて淡雪流れる

     ・・・・・・・

    暮れ行けば浅間も見えず
    歌哀し佐久の草笛
    千曲川いざよう波の
    岸辺近き宿にのぼりつ
    濁り酒濁れる飲みて
    草枕しばし慰む

 島崎藤村の落梅集に納められた「千曲川旅情の歌」
の一節です。

  高校生のころ国語の教科書に載っていました。
  先生から暗記させられたものです。

 上京して伊豆の石廊崎灯台への旅の後、上野から上
信越線に乗って小諸に行きました。

 駅から歩いてすぐ小諸城址に向かい、展望台から千曲
川を眺めながら口ずさみました。

 小諸城址懐古園には藤村記念館があります。

 口ずさんでいますと後ろで唱和する声に振り向きました。

 とても素敵な女性でした。

 同じような年代でした。藤村の話で盛り上がりました。

 藤村が千曲川のスケッチを執筆したときの庵と常宿が今
でもあると教えてくれました。

 両親がリンゴ園を営んでいるというjことで案内してくれま
した。

 5月のはじめでしたね。

 りんごの白い花の真っ盛りでした。

 りんごの木の下にたたずんだその人を見ていると、

      まだあげ初めし前髪の
      林檎のもとに見えしとき
      前にさしたる花櫛の
      花ある君と思ひけり

      やさしく白き手をのべて
      林檎をわれにあたへしは
      薄紅の秋の実に
      人こひ初めしはじめなり

 藤村の若菜集「初恋」が脳裏を駆け巡りました。

 色白で髪の長い、笑顔の素敵な人でした。

 半年、小諸通いがつづきました。

 小諸へ行きますとリンゴ園の木の下で語り合いました。

 それからまもなく素敵な人が他界した知らせを受けました。

 白血病でした。そのとき、その病のことなど知りません。

 小諸には今でも行きます。

 教えてくれた藤村ゆかりの宿には何度も足を運びました。

 小諸はとてもよい町です。

 懐古園、桜がきれいです。動物園、遊園地もあります。

 展望台から眺める千曲川は悠然と流れています。

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